昨今、SpotifyやNetflixなど、定額制のサブスクリプション型のビジネスモデルが注目を集めています。
国内でも、ラーメンの食べ放題や服のレンタルなどの定額制のサービスが展開され始めています。
そこで、今回はサブスクリプション型のビジネスとは何か、このビジネスモデルが企業に採用される理由や企業別のサービス事例に焦点を当てて説明していきます。
Contents
サブスクリプションモデル
サブスクリプションモデルのビジネスとは、ユーザーが商品やサービスを利用する回数・期間に応じて定額制で提供するサービスのことです。
携帯電話のプラン契約が分かりやすい例だと思います。
電話を多く利用したいと思えば「電話かけ放題プラン」、インターネットを長時間利用したければ「ネット使いたい放題プラン」など、ユーザーは自身のニーズに合った内容・価格のプランを選択することができます。
ユーザーは携帯電話を買い取るだけではなく、それを使ってどのようなサービスをどれくらい利用するかを考え月々の定額料金を支払います。
このように、サブスクリプション型ビジネスは企業がユーザーの要望に沿ったプランを用意し、利用回数や期間に応じた商品・サービスを提供することです。
サブスクリプションモデルが採用される理由
サブスクリプションモデルが企業に採用される理由はユーザー意識の変化とスマートフォンの普及だと考えられます。
ユーザー意識の変化
ユーザー意識の変化とは、モノ消費からコト消費へとユーザーの消費傾向がシフトしていることを指します。
モノの所有に価値を置く消費傾向をモノ消費、モノやサービスを購入して得られる体験に価値を置く消費傾向をコト消費と言います。
「心の豊かさ」と「モノの豊かさ」の重要度
上記のグラフは、生活における「モノの豊かさ」と「心の豊かさ」についての重要度を表しています。
グラフを見てわかる通り、モノの豊かさを求める割合は下がり続けていますが、心の豊かさを求める割合は伸び続けています。
所有についての意識調査
上記のグラフでは、モノの所有についての意識調査のグラフです。
多くの物を所有することは幸せだという問いに対して、「非常にそう思う」「ややそう思う」と考えている人は全体で37.3%。
逆に、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」と考えている人は62.8%というデータが出ています。
一方で、「物を所有するより、得られる体験にお金をかけたい」という問いに対して、「非常にそう思う」「ややそう思う」と考えている人が69%いることがデータで示されています。
このように、モノ消費からコト消費に重きを置くユーザーは、増加傾向にあることがグラフで分かりました。
今後、企業はモノを売ることよりも、サブスクリプション型ビジネスでコトを売るビジネスの方がユーザのニーズに合ったサービスを提供できるかもしれません。
スマートフォンの普及
コト消費のニーズが増えた背景として、スマートフォンの普及が考えられます。
スマートフォンの普及により、デジタル化されたコンテンツが複製によって簡単にユーザーの手に渡るようになりました。
その為、モノを所有することへのニーズが低下し、デジタル化されたコンテンツの価値が高まった可能性があります。
中でも、コト消費の関心を多く持っている年齢層は若者だと考えられます。
上記のグラフによると、「スポーツ観戦・映画・コンサート鑑賞」といったコト消費にお金をかけている割合が若者が最も多いです。
また、10歳代後半から20歳代後半までの80%以上の若者は、携帯電話やスマートフォンは自分の生活になくてはならないと考えていることが上記のグラフで分かります。
スマートフォンの保有率もそれに伴い、他の年齢層に比べて、20~29歳の若者が最も多いことが上記のグラフで分かります。
このように、今後、若者のニーズはモノ消費ではなくコト消費へと関心を移していると考えられます。
特に、月額制のサービスをスマートフォンのアプリなどを通じて若者を中心に提供することで、より企業の売り上げに繋げることができるかもしれません。
サブスクリプション型ビジネスのメリット
サブスクリプション型ビジネスのメリットを企業側とユーザー側に分けてご紹介します。
企業側のメリット
売上試算を出しやすい
サブスクリプション型のビジネスモデルは、期間を区切っての売上試算を出しやすいです。
例えば、毎月1000人のユーザーの新規登録を継続的に集めたとして、月定額制ならユーザー×単価で売上試算が出しやすいです。
逆に、売り切りのビジネスモデルは過去の注文履歴から予測して商品の生産を計画する為、予測が外れてしまうと在庫を抱えたり、突発的な大量発注があった時に在庫不足になる場合があります。
これでは、期間を区切っての売上試算を出すことがとても難しくなります。
ユーザーのデータ取得できる
ユーザーの使用状況などの統計データを把握することでき、サービスの改善に繋げることができます。
例えば、動画配信サービスであれば、どのジャンルの作品がどれくらいのユーザーに見られているかなどのデータがあれば、ユーザーのニーズにあった作品をサービスとして提供しやすくなります。
このように、ユーザーのニーズをデータとして知ることができれば、それに合うサービスを提供することでユーザーの満足度に繋げることができます。
また、データを参考に今までにない革新的なサービスを生み出すこともできるかもしれません。
ユーザー側のメリット
コストパフォーマンスが良い
実際にモノを買うよりも、月額の課金制でモノやサービスを利用するほうが、得をすること多いです。
例えば、月額の音楽聞き放題のサービスを利用すれば、実際にCDを購入・レンタルをする必要がありません。
例えば、1000円のCDを買うよりも、Spotifyのような音楽配信サービスで月額980円程度のお金を定期的に支払った方がより多くの音楽を聞くことができます。
このように、サブスクリプション型のサービスを利用するほうが、ユーザーにとってはメリットになることがあります。
モノを所有をしなくても良い
商品を購入したは良いが、使わなくなってしまい部屋の置き場所やモノの管理に困るケースが多々あるかと思います。
そんな時に、サブスクリプション型のサービスを利用することで、モノを所有していなくてもサービスを受けることができます。
最近では、服や家具のレンタルをサブスクリプションが型のビジネスモデルで展開している企業も出てきています。
特に、服や家具などは部屋のスペースをとるだけではなく、消耗品なので管理に手間がかかります。
レンタルであれば、気軽に利用して必要がなくなれば返却をすれば良いので非常に便利です。
このように、サブスクリプション型のサービスを利用することで、服や家具などのモノの置き場所や管理の悩みが解消されるかもしれません。
サブスクリプションモデルのサービス事例
実際に企業は、どのようにサブスクリプションモデルのサービスを展開しているのでしょうか。
そこで今回は、「自動車」「飲食」「アパレル」「デジタル」の業界から企業のサービス事例をご紹介します。
自動車
自動車のサブスクリプションモデルのサービスは、月に一定額のお金を支払うことで、選んだ車を自由に乗ることができます。
実際に車を購入すると、初期費用や車の維持費などの出費がかってしまいます。
定額制であれば、少額のお金でカーライフを楽しむことができます。
一括で購入したりローンを組んで車を所有しなくても、車を利用できます。
また、MaaS(Mobility-as-a-Service)という概念が世間で注目され始めています。
MaaSとは、日本語でサービスとしての移動という意味に訳されます。
これは、上記画像のように乗り物を移動手段ではなく、ユーザーのニーズに合わせて利用ができる1つのサービスとして定義されています。
もしも、これが実現すれば「鉄道」「バス」「カーシェアリング」「自転車シェアリング」などの交通サービスを統合して、1つのスマートフォンのアプリを通じて利用することができます。
アプリ1つで「ルート検索」「予約」「決済機能」をまとめて管理できるのは非常に便利ですよね。
このように、将来的には自動車は購入して所有するものではなく、以下のようにサブスクリプションモデルのサービスとして利用されるようになるかもしれません。
NOREL
NORELは、ガリバーが展開する自動車レンタルサービスです。
月額1万5,000円から150車種以上の車を自由に乗り換えることができます。
また、最短90日で車を乗り換えることができます。
法人・個人契約が選択可能で、受け取り店舗を指定した後、乗る車を予約して簡単に利用することができます。
SmartDrives Cars
SmartDrives Carsは、住友三井オートリースが展開する自動車レンタルサービスです。
1番の特徴は、毎月定額のお金を払うと、コネクテッドカーに乗れるということです。
コネクテッドカーとは、ICT端末で常時インターネット接続されている車のことを指します。
この端末が車に搭載されていれば、渋滞などの道路状態を分析して最適なルートを算出してくれます。
また、カーナビやETC、メンテナンスや車検、自賠責保険などがパッケージに含まれている為、とても便利です。
利用料金は車種ごとに異なりますが、1番安い料金で月額2万円程度で利用することができます。
飲食
野郎ラーメン
二郎系のがっつりラーメンを提供するフードリヴァンプが、「豚骨野郎(780円)」「汁無し野郎(830円)」「味噌野郎(880円)」の3種類のラーメンを1日1杯限定で食べられる、月額8,600円の食べ放題プランを提供しています。
味噌野郎のラーメンなら月に10杯を食べれば元が取れるのでお得です。
決済方法は、クレジットカードやキャリア決済(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)に対応しています。
GUBIT
GUBITは、月額980円で会員登録すると、GUBITの加盟店で毎日1杯のドリンクの提供を受けることができる定額制のサービスになります。
ユーザーは、生ビールのおよそ2杯分の月額料金を払うことで、毎日ドリンクを1杯飲むことができます。
お酒が好きな人にとっては、とても便利なサービスです。
また、お店側はGUBITの加盟店になることで、「ドリンク1杯」目当てのユーザーに足を運んでもらいやすくなるメリットがあります。
オフィスおかん
オフィスおかんとは、会社の従業員がお惣菜を購入できる社食サービスです。
お惣菜の値段も1品100円で購入できるので、とてもリーズナブルです。
また、管理栄養士が監修した、栄養バランスが良いお惣菜が約20種類も用意されています。
このように、このサービスを会社に導入することで、食習慣が悪い社員の方でも、食生活を改善させることができるかもしれません。
THE STELLA
THE STELLAとは、毎月、希少なワインを1~2本届けてくれる定額制のサービスです。
コースによって値段は異なりますが、一番安いコースで10,000円から利用することができます。
ワイン好きなら、ぜひ受けたいサービスです。
アパレル
airCloset
airClosetは、ライト、レギュラーの2プランがあります。
ライトプランは、月額6,800円で月1回3着まで服をレンタルすることができます。
レギュラープランは、月額9,800円で服が借り放題です。
両プラン共に、プロのスタイリストが選んだ服が届き、返却期限はありません。
返却時にクリーニングは不要で、レンタルした服を購入することもできます。
ラクサス
ラクサスは、月額6800円で「HERMES」「LOUIS VUITTON」「CHANEL」「PRADA」など様々なブランドバッグを自由にレンタルできるサービスです。
バックの交換は月に1回まで無料で、2回目以降は追加料金で1000円の費用がかかります。
このように、高いブランドのバックを買わなくても安く利用することができる為、ブランドバッグ好きの方にはおすすめのサービスです。
MECHAKARI
MECHAKARIは、人気ブランドの新品の洋服が定額で借り放題のサブスクリプションサービスになります。
プランは、「ベーシックプラン」「スタンダードプラン」「プレミアムプラン」の3種類があります。
airClosetの違いは、60日間借り続けていた洋服がもらえるという点です。
手続きは、不要で別途料金も掛かりません。
わざわざ、洋服を実店舗に買いに行く手間を省くことができます。
leeap
leeapは、メンズの洋服を定額制でレンタルできるサービスになります。
メンズ向けの洋服をめいいっぱい楽しみたい方はこのサービスがおすすめです。
プランは、「カジュアルプラン」と「ジャケパンプラン」の2種類があります。
カジュアルプランは、「Tシャツ」「ジーンズ」などのカジュアルな洋服をレンタルすることができます。
一方で、ジャケパンプランは、ジャケットを前提にした大人のコーデできる洋服をレンタルできます。
デジタル
Hulu
Huluは、「映画」「アニメ」「ドラマ」など50,000本の作品が月額933円で視聴し放題です。
スマートフォンやタブレット、PCなど様々なデバイスで作品を見ることができ非常に便利です。
また、特徴としては、国内のドラマや映画などの作品が豊富です。
Net Flix
netflixは、言わずと知れた定額制の動画見放題のサービスです。
視聴できる作品は、国外のドラマや映画などの作品が豊富なのが特徴です。
また、netflixでしか見れないオリジナルコンテンツがあり、その部分で他社の動画配信サービスと差別化をしています。
プランは、「ベーシックプラン」「スタンダードプラン」「プレミアムプラン」の3種類があります。
プランによって、「映像の解像度」と「視聴可能なデバイス数」が違ってきます。
例えば、ベーシックプランであれば、「映像がSD画質」で「視聴可能なデバイス数は1」、プレミアムプランであれば、「映像が4K画質」で「視聴可能なデバイス数は4」になります。
一度加入したプランは自由に変更できるので、まずは「映像がHD画質」で「視聴可能なデバイス数が2」のスタンダードプランを試しに加入してみて、「ベーシックプラン」「プレミアムプラン」に加入するかどうか検討しても良いかもしれません。
Spotify
Spotifyは、音楽ストリーミング配信サービスで、約4000万の曲を無料できく聴くことができます。
しかし、無料版で音楽を聞く場合、自分で聞きたい曲を選び聞くことができない、曲と曲の間に広告が入るなどの制限された仕様で音楽を聴かなければなりません。
もしも、制限なしで快適に音楽を聞きたい時は、有料プラン月額980円を定額で払うことで、約4000万の曲を制限なしで自由に聴くことができます。
まとめ
このように、サブスクリプションモデル型のビジネスは、ユーザーのニーズに合った内容・価格のプランが複数用意されたサービスが特徴になります。
今後のマーケティングは、ユーザーの消費行動の変化やスマートフォンの普及に伴い、モノを売るのではなく、モノやサービスで得られる体験をユーザーへ提供していくことが重要になってくるのではないでしょうか。
2019年の現在では、まだサブスクリプション型のサービスを提供している企業は少ないかもしれませんが、今回ご紹介した企業のサービス事例を参考にサブスクリプション型のビジネスを検討してみてはどうでしょうか。